2010年2月13日土曜日

『図書館雑誌』2010年2月号(104巻2号)図書館史関連記事

タイトルのとおりですが、『図書館雑誌』2010年2月号(104巻2号)に、図書館史に関係する記事が2つ掲載されています。

  • 天谷真彰「金光図書館報『土』についての懇談から--なぜ、戦後の図書館史に関心が寄せられないのか(北から南から)」p.100-102.
  • 井上勝「講演会「ヴォーリズと近江兄弟社図書館」について」p.104.

前者は、2009年11月に金光図書館で行われた天谷氏による講演「現代図書館考 金光図書館報『土』の創刊から60年」の概要の紹介と、そこでの何故『土』は知られていないのかという質問から、戦後の図書館史に触れることの重要性を論じています。

後者は、滋賀県の偉人の一人、ヴォーリズゆかりの近江兄弟社図書館に関する研究状況と2009年11月に近江八幡市立図書館で行われた講演会についての報告です。井上氏は日本図書館協会滋賀部会の有志による「近江兄弟社図書館資料保存研究会」の代表とのことで、この研究会では、文書群の整理や報告会などを今後も継続するようです。

2010年2月6日土曜日

藤井淑禎『高度成長期に愛された本たち』

これまた、旧聞に属するかもしれませんが、藤井淑禎『高度成長期に愛された本たち』(岩波書店, 2009)には、戦後の公共図書館と読書との関係を紹介・分析した箇所があります。

まず、貸本屋について論じた部分で、公共図書館との関係にも触れ、『図書館雑誌』1956年5月号における、貸本屋特集における議論を紹介しています(こんな特集もやってたんですね。バックナンバー、電子化して有償でもいいから配信してほしい…)。ちなみに図書館側は、貸本屋との共存・協力に肯定的だったとのこと。(p.111-114)

また、読書サークル(グループ)に関して論じた部分では、1950年代半ばに現れてきた、公共図書館による移動図書館/巡回文庫と自主的な読書活動の関連が紹介されています(p.121-134)。ここで引用されているのは、有山崧(山+松)「読書運動を展開しよう−民衆の図書館として」(『図書館雑誌』1956年9月号)や、蒲池正夫「読書を進める社会教育行政−そのあり方」(『社会教育』1963年4月号)などです。